最近、YouTubeでも行政書士試験や開業後のノウハウに関するチャンネルがふえてきました。

それだけ行政書士試験をはじめとした公的資格について関心が大きくなってきたということだと感じます。

私は2020年の行政書士試験に3か月半の独学で合格することができました。

行政書士試験は独学での合格が可能な試験だと思います。

本記事では行政書士試験に独学で合格できた勉強法を、私の体験談(低コスト重視)をもとにご紹介します。



独学で行政書士試験に合格するための勉強法(低コスト重視)

【目次】
1.使用した教材
2.科目別学習法

(1)択一式
①民法・行政法 ②会社法・商法 ③憲法 ④一般知識
(2)記述式
<民法・行政法>

3.受験日直前期の対応
4.いざ受験

(2020年11月8日(日))
5.あとがき


1.使用した教材
行政書士試験は近年合格率が10%前後で推移しているように、難関国家資格の一つです。

「司法試験受験前の腕試し」とか「司法書士試験からの鞍替え」といった受験生もいると聞きます。

ですので、万一不合格だったときのダメージを最低限に抑えるため、徹底的にお金をかけないことをコンセプトとしました(このあたりはいまいち気合が欠けているのですが笑)。

「DVD行政書士合格講座 (Foresight)」

10年以上前の受験時にインターネットオークションで購入。たしか当時1万数千円程度で購入したものだったと思います。

DVDを見ながら基本書の内容を簡潔に説明していくという基礎的な内容です(購入時DVDと基本書がセットになっていました)。

当然ながら、法律改定された部分もかなりあり、そのまま学習には適用できませんがざっくりと試験内容の概要を思い出す目的で、とりあえず民法と行政法について一通り視聴しました。

今でもDVD付の基本講座のセットはオークションサイトで見かけます。初学者のかたが基礎を習得するには、オークションサイトの格安出品ブツを利用するのはありだと思います(以降の法令の改正点を意識しておくことは必要)。

「動画講座(YouTube)」

最近は行政書士受験生向け学習動画がYouTubeで配信されています。

たとえば、”行政書士試験 独学”というキーワードで検索すると、数多くの講義動画がヒットしますので、自分が理解しやすいものを参照するとよいと思います。

現役の行政書士や弁護士の方々が講義動画をアップしてくれています。”初学者向けの基礎的なもの”から、”ある程度学習が進んだ際の疑問点解決的なもの”までバリエーションがとても豊富です。
とてもおすすめです(基本的に無料です)。

「合格革命 行政書士 肢別過去問集 2020年度 (早稲田経営出版)」
    ↑学習時間の大部分
合格革命 行政書士 肢別過去問集 2021年度 (合格革命 行政書士シリーズ)の詳細はこちら

2020年7月中旬に購入。

個人的なレビューとしては、「過去問を1問づつ肢別にばらしてあって、見開きの左側に問題、右側に解答が掲載されて使いやすくおすすめ」です。

「 10年版 行政書士 40字記述式過去問+予想問題集 (成美堂出版)」

10年以上前に受験したときに書店で購入。

個人的なレビューとしては、 「古い本でしたが解答の型を習得するのに役立った」です。

「2020出る順行政書士_当たる直前予想模試(LEC東京リーガルマインド)
『出る順行政書士 当たる!直前予想模試』の詳細はこちら

試験本番前の1週間前に購入。

問題の予想に期待したというよりも、時間配分の感覚をつかむ目的で使用しました。

個人的なレビューとしては、「 時間配分感覚を養うのにとても役立った」です。


【その他】
六法関連の本は買わず、”電子政府の総合窓口(e-Gov)”から各種条文をダウンロードしてプリントアウトしたものを使用しました。書き込みも気兼ねなくできて個人的には十分でした。


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2.科目別学習法
過去受験の失敗は”択一だし結果的に何とかなるだろう”という気持ちであやふやな知識のまま試験会場に向かったことでした。でも試験会場では確実に役にたちませんでした。そんなあやふやな知識では正解に導けないようにうまく質問してきます。

ですので今回はとにかく”民法”と”行政法”だけは何を聞かれても確実に正解する」という意気込みで学習にとりくみました。

コンセプトは
”「民法」と「行政法」の鬼になる”👹👹
です。
 ※ただし、司法試験レベルまで手を広げることはやめてください

科目全体をまんべんなく学習することはしなかったので、それ以外の科目はほぼヤマかけです。

(1)択一式
①民法
・行政法

a.「DVD行政書士合格講座 (Foresight)」で全体感を把握

条文が改定されている部分があることは想定していたので、細かい知識を習得するというよりは民法の骨子を把握するという意識で利用しました。

現在でもヤフオクなどを検索(”行政書士 DVD”)すると色々出てきますね…

b.「合格革命 肢別過去問集(早稲田経営出版)」を回転
      ↑学習時間の大部分


DVDでざっくりとイメージを掴んだのち、過去問に触れながら詳細で正確な知識を習得しました。ここでの対応が合否を分けたかもしれません。

試験前までに結局(変則的に)5回転。回転数にはこだわらず内容の理解に注力

問題を解いたときには、”なぜそのような解答になるのか”という理由付けを理解し、面倒でも都度民法の条文や基本書の内容と照らし合わせて確認。また、一つの肢から他の論点に派生させて周辺知識を拡充するよう意識しました。

たとえば、
「遺留分侵害額請求権の消滅時効は知った時から1年」という問題に触れたとき、そこで終わるのではなく”それ以外の時効ってどんな種類のものがあったかな?” と、時効に関する全ての期間を確認するとか、
制限行為能力に関する問題、「未成年者は単に利益を得、また義務を免れるべき行為については法定代理人の同意なく行うことができる」で正解ハイ次の問題・・・と進むのではなく、その都度基本書や条文にたちかえって、”上記以外の同意不要の行為についてもすべて確認しておく”ということです。

とにかく”面で理解”することに時間をかけました。納得できないと一つの論点に対して1時間かけることもありました

※過去問(肢別など)を解くと、行政書士試験で頻繁に出題されている範囲がわかってくるというメリットがあります。基本書や条文に立ちかえって論点等を確認していれば、その際の跡がたくさん残るので、その跡によってわかってきますよね。

それと、学習中に発生した疑問点は必ず当日のうちに解決して理解しておくことが理想的です。私は入浴中に当日学習した内容を頭の中で思い出し、記憶が不安になっているものがあれば、寝るまでにはかならずテキストや問題集を開きなおして確認するようにしていました(そうしないとその日の努力が無駄になるような気がしていました)。

論点が理解できたと判断した肢(含む周辺知識)は、それ以降は回転対象から除外し、徐々に回転の対象となる肢を削減(変則的5回転というのはそれが理由)。

過去問を解いていると、行政書士試験に問われやすい分野とあまり問われない分野がだんだんとわかってきます。問われやすい分野は徹底的に理解しておく必要があります(それは実務に必要だと試験センターがとらえている分野だと思われます。ですからその分野が頻出するわけです)。

基本書が古かったのですが、とにかく基本書に書き込みを行い習得した知識の一元管理を基本書で行なうようにしました(法令の改正点や不足している論点などの情報をどんどん記入)。

例えば、行政不服審査法については、「不服申立の類型は原則として再審請求に一本化」されたことなどもあって、テキストの内容がほぼあてにならなかったため、以下のような感じでテキストの各ページに最新の情報を整理(過去問やインターネット等から情報収集)しながら追記していきました。
 ※記憶する内容については積極的にビジュアル化しました。
  私の場合はそのほうが記憶に定着しやすかったです。

c.「講義動画(YouTube)」を視聴
      ↑学習を強力にサポート
当然無料なので超おすすめです。
初学者のかたは、マジでイケてる行政書士講座【ゆーき大学】(現役の弁護士さん)や、動画で民法がわかーる。【行政書士試験対策】(かわいいあざらし君の動画)がお勧めです。
ある程度学習がすすんだかたは行政書士独学応援』チャンネル(佐藤浩一行政書士)の講義動画を一日一回以上必ず視聴し、重要な論点あるいは理解不足の場合は、当日理解できるまでとことん視聴してみると良いと思います。このチャンネルはある程度学習が進んだかたに本当におすすめです。わかりやすい絵と具体的な解説が特徴なので論点を理解しやすく記憶に残りやすいです。個人的には予備校の平凡な授業よりも優れているのではないかと思います。

私が学習していた当時はYouTubeの学習チャンネルは少なかったのですが、今は相当数のチャンネルがありますので、個人個人の好みや学習深度に合わせて視聴できるように多くの学習チャンネルがありますね。

<民法改正点について>
2020年4月に改正民法が施行されましたが、その改正点は「講義動画(YouTube)」から習得しました。過去問ベースで学習しただけでは当然新たな論点に関する知識は習得できなかったので(過去問集には改正点で正誤に影響が及ぶ部分等は改正後の内容にあわせて補正がされていますのでその点は安心です)YouTubeから情報を漁って対応しました。

②会社法・商法

a.「合格革命 肢別過去問集(早稲田経営出版)」を回転
きっと同じ知識を問う問題は出ないんだろうなという思いがあり、あまり気合が入りませんでしたが、それでも適当に多分3回転くらいしたかと思います。

b.「動画講座(YouTube)」を視聴

YouTubeでLECが提供している「商法・会社法」の講義動画を視聴

司法書士もされている講師が行政書士向けに講師されているもので内容的には充実していると思いました。※特に「設立」「株式」「機関」については重要論点として特に理解・記憶するように努め、他のYouTube動画も利用して情報収集し自分なりのノートに纏めました。

③憲法

a.「合格革命 肢別過去問集(早稲田経営出版)」を回転 
過去に複数回出題されている肢は重点的に覚えましたが、それ以外はきっと同じ知識を問う問題は出ないんだろうなという(商法・会社法と同じ)思いがあり、あまり気合が入りませんでした。こちらも適当に多分3回転くらいしたかと思います。

b.「動画講座(YouTube)」を視聴
伊藤塾が憲法に関する出題予想講座なるものを提供していましたので、こちらを参考にしました。

c.条文の素読
その他条文の素読しました。それ以上は時間をかけませんでした。

④一般知識
いろいろと対策は悩みましたが結局は特段何もしませんでした。
個人情報保護法についてだけはYouTubeで勉強しました

(2)記述式
<民法・行政法>
「 10年版 行政書士 40字記述式過去問+予想問題集 (成美堂出版)」に記述式の対策が記載されていましたので”その内容を理解すること”、そして”出題に対する解答の書きぶり”をつかむようにしました。

本書のなかでは、「「知っている」ことと「知っていることを書けること」とは全く別の話である」あるいは、「記述式で高得点をとるには意識的に記述力を付けるための訓練が必要」とありました。

これは私も身に染みて実感したのですが、ある程度択一が解けるようになっても、頭の中に浮かんだ解答を実際に文書にするにはなかなかうまくいきませんでした。

そこで、45マスの解答欄を大量に作成して、とにかく手を動かして文書を記載する練習をしました。ネタはインターネットから検索し、過去問や予想問題などをインターネットで手あたり次第検索して、その模範解答を何度も紙に写すことから始めました。いわゆる”型”を身につけるっていうやつです(文書の丸暗記だけではダメです。身につけた”型”をもとにして問われている論点と結論をわかりやすく記述することが最終目的です)。

それに加えて、民法や行政法の択一問題を解いたときの解説に、何となくキーワードになりそうな言い回しがあったりすると、その部分を紙に書き出して40字程度にまとめてみるといったこともやったりしてました。


3.受験日直前期の対応

一度受験したことがあるとはいえ10年以上前のことでしたから、時間配分などの感覚を養うため「2020出る順行政書士_当たる直前予想模試(LEC東京リーガルマインド)」を使用しました。

模試は3回分あるのですが、一日一回ずつすべて本番試験の時間帯に合わせて13時から16時までとしました。

他の模試は受けませんでしたので実際の試験感覚をつかむのにとても役立ちました。試験時間はまず足りません。自分の回答ペースをあらかじめ決めておいてください。

どの科目から解きはじめるか、科目ごとの時間配分はどのようにするか…などをシミュレーションしてください。私は 民法 → 行政法 → 記述式 の順番にしました(他の科目はほぼヤマかけだったので、前半に得意科目で点数を稼ぐ作戦)。

昼ごはんも、会場に行くまでの時間を逆算してからほぼ同時刻に食べました。腹持ち具合なども確認したかったので試験当日食べるものと同じ食事内容としました。


4.いざ受験(2020年11月8日(日))

コロナの影響で試験会場が変更となり、通常は大学の校舎を借りて実施されるところ、特別措置として大規模イベントホールにて実施されました。

席と席の間に適当な間隔があって、試験中他人が気にならず個人的にはにかえって良かったと思っています。

試験会場ではいろいろな状況に見舞われたり、いろいろな人がいたりするので「気にしない鈍感力」も大事ですよね。

私は試験開始から2時間くらい経過したころお腹が空いてきてしまい、それ以降お腹が鳴るのを少し気にしてしまいました(でも、席と席の間隔が離れていたので気は楽でした)し、ちゃんと済ませたのになぜかトイレにも行きたくなってしまいました(試験時間が足りない状況だったため、こちらも結局最後まで我慢)。

いくら準備していても想定外の事っておこるんですよね。

さて、実際の本試験での得点はこちらに記載しています
行政書士試験の独学合格は可能です【独学で行政書士試験に合格するための方法】


5.あとがき

最近はいろいろな情報がインターネットから収集できるようですし、特にYouTubeにはいろいろな学習動画がアップされていますので、これを利用しない手はないと思います。

予備校が提供しているものは内容がすごく充実しています(もちろん無料視聴可です)。

予備校通いや通信教育という手段もありますが、会社勤めをしながらの勉強で時間的な制約から独学をされているかたはなおさらです。

ヤマかけで一発勝負したい人はこちらの記事もどうぞ!!
ヤマかけで行政書士試験に合格するための勉強法

これは余談ですが、私はお酒好きなのでビールは1缶程度は毎晩飲んでいました
(( ´∀` )🍺)
人によっては受験期間は断酒するかたもいるようですが、私はそこまでの気力は無く、その点でのストレスは溜めないようにしていました。

私の体験記が少しでも受験のご参考になれば幸いです。応援しています!!